Last Updated on November 20, 2019 by shibatau
カミュ『シーシュポスの神話』(Le Mythe de Sisyphe)のメモです。
作者紹介
著作解説
The Myth of Sisyphus (Wikipedia)
大変わかりやすい解説で、4章の概要がわかります。
原文および英訳
The Myth Of Sisyphus And Other Essays
コメント
大学の時、第二外国語はフランス語でした。哲学専攻でしたからラテン語も学びました。大学院の試験のためのドイツ語は自分で勉強しました。
なんとかできるようになったのはドイツ語だけでしたが、ずっと読んでなかったので忘れています。今年は少し時間ができたので、ドイツ語とフランス語を学び直そうと思っています。
フランス語原文を辞書を引いて訳してみました。
人生が生きるに値するものかそうでないかを判断することが、哲学の根本問題に答えることなのである。
Juger que la vie vaut ou ne vaut pas la peine d’être vécue, c’est répondre à la question fondamentale de la philosophie.
人が哲学に期待するのは普通そのようなことだと思います。これ以外のことは、科学の発見であっても画期的なプログラムであっても、後回しです。この人生の問題に答えようとしないなら哲学の価値はないと感じられます。
率直に真正面からこの根本問題と向き合ったのがカミュです。カミュの基本的な考えは次のようなものです。
人にとって人生や社会は不条理です。私たちに課せられているのは、この不条理を生き抜くことです。
ニーチェの永劫回帰の思想に共感し、それを神話として描いたのが最終章の「シーシュポスの神話」です。神がシーシュポスに課した罰は、大岩を坂の上まで押し上げて、頂上に到達した瞬間に岩が下に落ちていくのを呆然と眺めることを繰り返す永劫回帰です。
カミュはこれを甘受して黙々と繰り返すシーシュポスの人生を幸福な人生として讃えました。