Philosophy&Thoughts: ヴィトゲンシュタイン哲学入門1 _哲学とは

ヴィトゲンシュタイン哲学入門1

ヴィトゲンシュタイン哲学入門2

ヴィトゲンシュタイン哲学入門3

 

I.哲学はつまらなくなった?

 

現代の哲学はトリビアルな問題に熱中しているように見えます。哲学に関心がある人でも、特に言語哲学や分析哲学の本を読むと、言葉の意味や推論の細かな議論についていけないと感じるでしょう。私もそうです。

「いったい、伝統的な哲学的問題はどうなったの?!」と叫びたくなります。

  • 神は存在するか?
  • 真実とは何か?
  • 存在とは何か?
  • 善と悪とは何か?
  • 人生の意味とは何か?
  • 自由意志は存在するか?
  • 心と体はどのように関わるか?
  • 夢と現実の違いは?
  • 科学に解明できないことがあるのか?

これらの問題に正面から取り組んでいる現代の哲学者は非常に少ないでしょう。しかし、これらの問題について完全ではなくとも、何らかの答えを与えてくれないなら、哲学には意味がないと考えるのはもっともです。

 

II.ヴィトゲンシュタインの哲学観

 

Iで列挙したような問題の答えをヴィトゲンシュタインも求めたのだと思います。

しかし、彼は論理や言語を研究する中で、哲学について独特の考えを持つようになりました。

ヴィトゲンシュタインの思想は前期と後期で全く異なるのですが、哲学が世界についての言明でないという次のような立場は生涯を通じて変わらなかったようです。

 

「哲学の正当なやり方は、語れること以外は語らないことである。語ることができるものは自然科学の命題であり、これは哲学の対象ではない。さらに、だれかが形而上学的[自然科学をこえたこと]を語ろうとするとき、その人の主張する命題の中に意味のない記号が使われていると示すことである。このやり方はその人にとって満足するものではないだろう。哲学を教えられたという気がしないからだ。しかし、このやり方こそが唯一の厳格に正当なものなのである。」

Die richtige Methode der Philosophie wäre eigentlich die: Nichts zu sagen, als was sich sagen lässt, also Sätze der Naturwissenschaft—also etwas, was mit Philosophie nichts zu tun hat—, und dann immer, wenn ein anderer etwas Metaphysisches sagen wollte, ihm nachzuweisen, dass er gewissen Zeichen in seinen Sätzen keine Bedeutung gegeben hat. Diese Methode wäre für den anderen unbefriedigend—er hätte nicht das Gefühl, dass wir ihn Philosophie lehrten—aber s i e wäre die einzig streng richtige. (TRACTATUS LOGICO-PHILOSOPHICUS, 6.53)

 

III.『論理哲学論考』の世界

 

神の存在、善と悪、人生の価値などについては、古来名だたる哲学者によって様々に論じられてきました。

ヴィトゲンシュタインの特徴は、これらの問題に答えないという選択をしたことです。

前期の『論理哲学論考』の考えをまとめると次のようになるでしょう。

語ることができるのは科学的な命題のみである。宗教や倫理についての言明は有意味ではなく真偽を帰属させることもできない。宗教や倫理は私たちの言動によって示されるのみである。

このような考えは少し奇異に感じられるかもしれませんが、私たちの次のな体験に沿うものではないでしょうか。

 

  • 神を信じるか信じないかは決断である。
  • 善悪には簡単な真偽がない。
  • 同じ行為を善意からでも悪意からでもなすことができる。
  • 同じ人生を幸せに生きることも不幸せに生きることもできる。

 

結局、もっとも重要で崇高なことは語られないというのが前期ヴィトゲンシュタインの考えです。

ある意味では、カントが理性を批判検討して理性は神や美の存在を証明できないことを示したのに似ています。

また、ドストエフスキーやカフカ、ニーチェやキルケゴール、ハイデッガー、サルトルなどの文学者、哲学者が戦った問題、神を信じたいのに信じられないという現代の病への一つの答えだと考えることができます。

 

 

ちなみに、『論理哲学論考』は語られることの解明により、真理表や論理空間、意味の検証理論、対象言語とメタ言語の区別など、その後の哲学に大きな影響を与えました。

また、非常に興味深いことですが、後期のヴィトゲンシュタインはこの前期の思想を徹底的に批判することで『哲学的探求』を中心とする後期思想を確立しました。

 

資料

 

Ludwig Wittgenstein: Tractatus Logico-Philosophicus Side-by-Side-by-Side Edition

Michael Dummett (1925—2011)(Internet Encyclopedia of Philosophy)

Michael Dummett .pdf

 

to be continued

About shibatau

I was born and grown up in Kyoto. I studied western philosophy at the University and specialized in analytic philosophy, especially Ludwig Wittgenstein at the postgraduate school. I'm interested in new technology, especially machine learning and have been learning R language for two years and began to learn Python last summer. Listening toParamore, Sia, Amazarashi and MIyuki Nakajima. Favorite movies I've recently seen: "FREEHELD". Favorite actors and actresses: Anthony Hopkins, Denzel Washington, Ellen Page, Meryl Streep, Mia Wasikowska and Robert DeNiro. Favorite books: Fyodor Mikhailovich Dostoyevsky, "The Karamazov Brothers", Shinran, "Lamentations of Divergences". Favorite phrase: Salvation by Faith. Twitter: @shibatau

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