Last Updated on March 4, 2020 by shibatau
ゲーム理論の説明として代表的な囚人のジレンマが理解できても、「だから?」「なんの意味があるの?」と思いますよね。
実際、ゲーム理論の説明や応用例としてあげられる例が、「そんなの当たり前じゃん!」と思えたり、現実にはうまくいきそうにない例であったりすることもしばしばです。
しかし、経済学部の学生なら、ナッシュがアダムスミスの間違え、たぶんハイエクの自由主義を否定、あるいは修正するものだと知ると、「へえ!?」となるかもしれません。
下はゲーム理論で有名なナッシュを主人公とした映画A Beautiful Mindの中で、ナッシュがアダムスミスの誤りを指摘する有名なシーンです。
[embedyt] https://www.youtube.com/watch?v=0r3xj4VCIx0[/embedyt]
ここでJohn Nash(Russell Crowe)は “Adam Smith was wrong! “と言っています。
よく知られているように経済学の始祖アダム・スミスは、個人が自分の利益を追求することで、「見えざる手」に導かれるように、結局は社会全体の利益を追求することになるのだと主張しました。
ところで、留学生にはこの「見えざる手」の日本語の説明が必要です。「ざる」は文語表現です。「見えない手」なら否定形であることがはっきりわかるのですが、、、。
ゲーム理論の囚人のジレンマで示されたのは、個人が自分の利益を求めて合理的に判断し行動するとき、その結果は、本人にとってあるいは社会全体にとって最適な結果にならない場合があるということを示したと考えることができます。
ですから、「見えざる手」では十分でない場合があることを囚人のジレンマは示していると考えることができます。社会は自由放任すべきではなく、本人にあるいは社会にとって最適な結果をえるルールや規制を設定する必要があるということになりますね。
また、逆に司法にみられるように、自白を誘導するには、適当なな司法取引を認めることによって、自白を誘導すること考えられます。
このように考えると確かに応用の幅は広そうに思えます。
囚人のジレンマについては、下記の記述を参考にしてください。
Pythonで繰り返し囚人のジレンマの総当たり戦のシミュレーション